皆様からのお便り

このコーナーは皆様からのお便りを掲載します。「私が今取り組んでいること」,「ちょっといい話」なんでも結構です。事務局にお寄せ下さい。

連絡先  小笹源水  

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〇松永 巖 様 New!

輸出比率の高い今では海外出張は当たり前ですが、昭和30年代初めはかなり事情が違っていたと思われます。昭和30年に大型水車受注のために台湾に出張し更に受注後の引渡し前に現地に出張された思い出を投稿頂きました。仕事についての詳しい記載がないのは元々、社外(学士会)に発表されたものだからです。業務の内容については添付の写真(当時の長船ニュースより)及び表彰状をご覧ください。(事務局)

 

台湾の思い出              松永 巖

 私が初めて台湾に行ったのは三菱重工長崎に入社して3年目の昭和30年3月、台湾電力の大型水車受注のため技術的問題の打合せが目的で
あった。当時の羽田空港は旧建物で日航は未だ無くタイ航空と中華航空の二社で勿諭私自身も海外出張・飛行機とも初体験であった。台湾の税関
が厳しく台湾側の要職の出迎えが必要で台湾電力の陳蘭皐(早稲田大卒後に台湾電力総経理)という方の出迎えを受けた。案内された宿所は台北
公園の一画にあった鉄路飯店(鉄道ホテル)、台北で最高級のホテルであったがエアコンなど勿諭無く3月でも相当に暑く、窓を開けベッドを
カパーする蚊帳を使用していた。未だ至る所で日本語が通じ三菱商事も普通の店の二階を事務所にしていた。仕事は詳細打合せのため時間を要し
た。課長は台南高工出身の台湾人であったが担当者は外省人で、打合せは総て英語で中々手強かった記憶がある。滞在期間は丁度一ヵ月、手待ち
の時間もあり初めてゴルフなるものを習得した。有名な陳清波や徐阿玉プロの師である陳金獅プロに最初に教わった。「ポールを打つのでは
ない。ティーを打つのだ」と言うのがその第一歩で私のゴルフ人生に大いに役立った。

 私は台湾電力天輪発電所の機器据付け完了後、通水、効率テスト、引渡のため現地に立会人として約一ヶ月滞在した。天輪発電所の好評により
更に大型の次期計画の石門発電所の受注に成功した。先の陳蘭皐さんも後年台湾の要人として来日された折再会した。「松永さんの水車、未だ回っているよ」と言われた時は嬉しさと懐かしさに感激し絶句した。当時交換した名剌ぱ全部保管しているが鬼籍の方々も多いと思うと感無量である。

補足:添付写真に一緒に写った古賀技師(当時は組立工場)、大塚工長(組立工場)は機器据付当初から約6カ月派遣されました。古賀技師はその
後造船の船殻検査課長となるも転落事故で物故、大塚工師も故人。