皆様からのお便り

長船クレーンの一寸知識   和仁和文様   New!


皆さんは旧一工作(現タービン製造部)で100年以上も現役で稼働しているクレーンが、ユネスコにより明治日本の産業革命遺産の一つに認定されたのを御存じだと思います。そのジャイアントカンチレバークレーンは長船創業150周年記念誌「長船よもやま話」にも取り上げられていますが、スコットランドから輸入され、1909年(明治42年)12月に竣工したので、今年で現役110周年という訳です。クレーンの製造元はスコットランド/グラスゴーにあったApplebys(アップルビー)社ですが、同型のクレーンが世界に11基残っており、その内の3基は未だに現役で稼働中だそうです。100年以上も使用出来るといえば、今では過剰品質などと揶揄されるかもしれませんが、当時の構造設計では計算尺位しかなかった事を思えば、相当裕度ある安全率設計であったと想像されるものの、それでも矢張り当時の製造品質とその後のメインテナンスのなせる業といえるでしょう。付属設備の、例えばクレーン駆動用モーター(Vickers Sons &Maxim社)もコイル巻き直しはしているものの、当時のモーターがそのまま活躍しています。Applebys社があったグラスゴーにも同型のクレーンが、(残念ながら現役ではなく)産業遺産モニュメントとして残されています。 
トーマス・グラバーや日本留学生、近代化のための設備導入など、当時のスコットランドと日本の強い結びつきの縁がもとで、スコットランド政府が中心となり、文化遺産を精密なレーザー計測によって3Dデータとして残し後世に伝えるプロジェクト「Scottish Ten」の世界中の10の遺産の一つにこの長船のクレーンが選ばれています。 10の遺産とは、スコットランド内の5つのユネスコ遺産、そして米国(リンカーンなどの石刻があるラシュモア山)・インド・中国・オーストラリア(オペラハウス)の4つの文化遺産に加えて、長船のこのクレーンが世界中の10の文化遺産の一つとして加えられています。Googleなどにて「Scottish Ten」で検索すれば、10の遺産の3D画面が紹介されており、長船のクレーンの雄姿も綺麗な3D画像でご覧いただけます。

関連サイト:「Scottish Ten」のホームページ 下記ボタンをクリックして下さい。



  グラスゴーにある長船と同型クレーン        クレーン操作盤                   モーター銘板 

                        (製造会社APPLEBYSの名前が読み取れる)    (Vickers Sons &Maximの名前がある)