皆様からのお便り 「元岩崎久彌氏別荘 伊豆長岡温泉 「三養荘」 のご紹介」 伊藤一郎
元岩崎久彌氏別荘 伊豆長岡温泉 「三養荘」 のご紹介 伊藤一郎
皆様ご存じかと思いますが、三菱創業者の岩崎弥太郎の長男・久彌氏(三菱財閥第三代社長)の別荘として1929年
(昭和4年)に京都の名庭師小川治兵衛の手による壮大な日本庭園の中に、瀟洒な数寄屋造りの和風建築邸として
伊豆長岡温泉に建設されたこの高級旅館には中々泊まる機会がありませんでした。一度泊まってみたいと狙っていましたが、昨年12月に新館に空部屋がでたので宿泊しました。三菱創業家が残した貴重な歴史的建物として、まだ泊まられて
いない方にご紹介したいと思います。
京都桂離宮を模した庭と京風数寄屋造りの和風建築で2017年(平成29年)に国の登録有形文化財に指定された
歴史的建築物ですが、現在はプリンスグループが運営する温泉旅館で部屋数は僅か29です。
長年古い建物だけで戦後から旅館として運営されてきましたが、建築界の巨匠村野藤吾氏が設計し平成5年(1983年)に増築されたモダンな新館と合わせて人気旅館です。
昭和、平成、今上天皇もご宿泊された「離れ」もかなり高価ですが泊まれるようです。テレビの「百年名家」でも紹介されました。
「三養荘」とは、岩崎家の家訓とされていた蘇東坡(そとうば)の「三養訓」に由来するもので、岩崎家の別邸当時から呼ばれていた名称をそのまま継承しています。
参考までに三養訓とは
1.案分以養神(ぶんをわきまえて、精神を安定させること)
2.寛胃以養気(胃を楽にして、心身の元気を養うこと)
3.省費以養財(無駄遣いをやめて、財産を作ること)
とのことで、1,2はそうかと思いますがこの庭園を見ると3.は少し無駄遣いではと思いました。
驚くのはそのスケールの大きさです。敷地は3万坪で、京都の庭師小川治兵衛の手による壮大な日本庭園は5千坪
あり、川の水を引いた池には周りの建築物が逆さに映る撮影ポイント箇所もありました。
館内はとても広く部屋まで歩いていくにも結構時間かかりますが、その廊下においている置物も絵画も超一流で時間を
忘れます。食事処『雄峰』の舞台壁面は、人間国宝で截金(きりかね)作家の江里佐代子氏の作品『峰光』があります。 温泉はPH9.1のアルカリ性で美人の湯と言われていて全室には露天風呂がついており、完全かけ流しの風呂があります。
料理も新鮮な魚介がメインですがとても美味でした。贅沢な時間を満喫できる歴史的旅館でした。
当時の三菱創業家の残した素晴らしい旅館にぜひ機会みつけてお泊りください。
なお長岡温泉の近くからは伊豆旅行の最大級の観光名所である伊豆パノラマパークロープウェイがあり、葛城山に登れば標高452Mから伊豆のみならず駿河湾から霊峰富士山が見事に見える素晴らしい眺望も楽しめます。
碧テラスと言われるスペースでは逆さ富士が見えて、撮影に多くの人が並んでこの絶景を楽しんでいました。また世界遺産の韮山反射炉が見える距離にあります。東京から3時間余りで行けるのでぜひ訪問されてください。