皆様からのお便り 「ビーチクリーニング」   藤川 卓爾様                                         

吉岡様の長崎精霊流し後の清掃の想い出記事に加え、故郷淡路島のビーチクリーニングの記事を藤川卓爾様より頂きま
した。清掃作業で故郷に貢献し、恩返しされているのは素晴らしい話だと思います。見習いたいものです! (伊藤記)

      「ビーチクリーニング 」       藤川 卓爾       

    「淡路(あはぢ)島 かよふ千鳥の 鳴く声に いく夜寝覚めぬ 須磨の関守」
 

 小倉百人一首に詠まれたように淡路島には昔から千鳥が棲んでいました。戦後の高度経済成長期を経て、自然の海岸が
減少するとともに浜千鳥(学名はシロチドリ)も減少し、現在は絶滅危惧種になっています。

 私は故郷の淡路島に帰省するときは、シロチドリ保護を目的とする「淡路島ちどり隊」に協力し、朝夕の散歩の序に
海岸のゴミ拾いをしています。
 海岸のゴミには漂着ゴミと放置ゴミがあります。漂着ゴミは対岸や沖から流れ着くゴミです。放置ゴミは観光客が
捨てて行くゴミです。
 漂着ゴミで目立つのは発泡スチロールのかけらです。漁業用の浮きに使用される発泡スチロールは崩れやすく
バラバラになります。これがさらに細かく粉砕されてマイクロプラスティックになります。

 もう一つ目立つのがカキ養殖用のスペーサーです。昔は竹を切ってスペーサーにしていましたが、現在は
プラスティック製のパイプを切ってスペーサーにしています。竹のように天然由来のものは放置されても自然に
分解されますが、プラスティックのように人口のものは自然分解されず環境負荷となります。


  漂着ゴミで面白かったのは加古川市の「ポイ捨て禁止」看板です。本年6月に対岸の加古川市から
「ここにゴミをすてないで!!」と書いた看板そのものがゴミになって淡路島まで流れてきました。
 この看板を加古川市役所の担当部署宛に宅配便で送りましたが、1か月以上経っても何の反応もないので、
加古川市の治水対策課長宛に手紙を書きました。
 これでも返事がなければ次は市長宛に手紙を出そうと思っていましたが、3週間後に横浜の自宅に帰ったら
治水対策課から返信が届いていました。

 

 放置ゴミは偏にモラルの問題です。たばこの吸い殻は常連です。どうもスモーカーにはマナーが良くない人が多いと
思います。
 海岸には「ごみ捨て禁止」の看板がありますが、わざわざ看板の前にゴミを置いて帰る人がいます。
 バーベキューをした後のゴミを置いて帰る人も少なくありません。来る時に持って来たものだからスペース的には
持って帰ることができるはずです。
 袋に入れてあるのはいいのですが、燃えるゴミと缶などの燃えないゴミを一緒に入れてあるのでゴミ出しをするのに
仕分けをする必要があります。金網を捨てて帰る人もいます。木炭を捨てて帰る人もいます。木炭は拾って帰って来年
我が家でバーベキューするときに使います。


 大リーグの大谷翔平選手がグラウンドに落ちているゴミを拾ってベンチに帰る姿を見た人が多いと思います。
彼はゴミを見捨てることができないと言いますが、ビーチクリーニングをしているとその気持ちが良く分かります。以上