皆様からのお便り 『エベレスト街道トレッキング:世界最高峰を仰ぎ見る旅』 河合武久様
17年前のエベレストでのトレッキングの想い出を書いて頂きました。素晴らしい景色と共に現地の人々との交流も貴重な
体験となったことが印象的です。皆さんもまだ元気な内に挑戦されては如何でしょうか? 《伊藤著》
『エベレスト街道トレッキング:世界最高峰を仰ぎ見る旅』 河合武久
世界最高峰エベレスト。登頂は所詮無理としても、その雄姿を間際から拝みたいものと、エベレスト街道トレッキングに参加した。
2007年(17年前)68歳の時である。またとない感動の旅だった。行ってみたいと思われる方々の参考になれば
と思い概要を報告する。
1. 行程
当時30年の実績のある「ヒマラヤ観光開発(株)」が提供するツアーの内、「エベレスト街道トレッキング
11日間」に参加した。
バンコク経由カトマンズ到着。カトマンズから19人乗りのプロペラ機でヒマラヤ山脈麓の町ルクラ(標高2827m)へ。
そこからエベレストまで続くエベレスト街道トレッキング開始。エベレスト登頂を目指す本格的登山隊も、この街道を歩いて登って行く。周りには6~7000m級の山々がそそり立ち、エベレストはその奥に鎮座してまだ見えない。
山小屋に宿泊しながら、3日間山道を歩いて、標高3440mのナムチェ村の峠を越えると、目の前に8848mの
エベレストがその雄姿を現す。感動的である。
多くの人間がこの氷壁に野望と憧れを胸に挑戦し飲み込まれて行った。大自然に比べ人間の小ささを思った。
同時に、失敗しても、失敗しても諦めずに挑戦しついにはその頂を征服した人間の強さを思った。
3880mにあるエベレストビューホテルに宿泊。ここは設備も整っていて快適であった。ベランダからエベレストを
目の前に飲むビールの味は格別だった。翌日近くにある標高4200mのクンデピークに登頂。荘厳なヒマラヤの山々を
従えて聳え立つエベレストをより間近に拝むことが出来た。
帰りは3日間掛けて登って来た同じ道を2日で下りてルクラへ。プロペラ機に乗りカトマンズへ帰着。
ちなみに、私の最高到達点は4200mだったが、より健脚の人向けに、エベレスト登頂べースキャンプ近くの
カラパタール(5549m)まで行くコースもある。

《下の写真説明》
左 エベレスト(8848m) 右 ローチェ(8516m)下の森の中に、エベレストビューホテルが有る。

エベレストを囲む山々:
世界最高峰エベレストも感動的だったが、それを囲んで岩と氷の殿堂のように聳え立つ6000m~8000m級の
山々の威容も別世界の素晴らしさであった。
「アマダプラム 6856m」:シェルパ語で「母親の首飾り」と言い、その山容の美しさと、エベレスト以上に
登頂が難しい、アルピニストには憧れの山です。

「タムセルク 6623m」: エベレスト街道を歩き始めて最初に現れるこれぞヒマラヤという威厳ある山。
まだ見ぬエベレストへの期待に胸が膨らむ。

2.道中点描
飛行機:
カトマンズからルクラへ行く19人乗りプロペラ機。結構スリリングである。

ルクラ空港:
滑り台のような滑走路。到着は登り坂に、出発は下り坂を利用して飛び立つ。
ある意味合理的。完全有視界飛行なので曇ると空港閉鎖となる。

マオイスト(共産党毛沢東派):
我々が行った時、ネパールは王政末期の時代であった。地方はマオイストが実効支配しており、
登山客もマオイストの検問所で100ルピー(約200円/人)協力金名目で徴収される。
マオイストは住民の評判は良く、観光客から徴収した資金で住民福祉に力を入れているとのことであった。
私達が旅行した翌年2008年に、王政は廃止され共和制に移行した。
マオイストの検問所。マオイストの青年は丁寧で明るく好感が持てた。

シェルパとポーター:
我々客人二人に対して道先案内人シェルパ1人とポーター兼料理人5人が付く。
道中は、宿泊は山小屋だが、食事は食材も調理器具も旅人が持参。我々客人は自分の防寒衣類、雨具、非常食位を
背負い、その他は全てポーターが運んでくれ食事も作ってくれる。
シェルパのナワン君はカトマンズ大経済卒。父が観光ガイドをして大学を出してくれた。日本には穂高の山小屋に
アルバイトで行ったことが有る。好青年だった。
《下》 左がシェルパのナワン君とポーター達。 荷運びスタイル

調理風景

夕食。日本人に合わせた味にしてくれて、結構美味かった。
高山病と酸素吸入 :
標高4000mの高さになると、酸素濃度は地上の約60%まで低下すると言われている。
それに伴い様々な高山病の危険が有る。エベレスト街道に行く約一か月前に富士山(3776m)に登ってみた。
又、代々木に有る三浦雄一郎氏関係の低酸素訓練施設で4200mの低酸素を30分ばかり体験した。
両方ともそれほど厳しくはなかった。しかしこの程度で高度順化できるわけでもなく、数日間高地滞在の
エベレスト街道では酸素の薄さはきつかった。
日中歩いている時は深呼吸するので左程ではないが、夜寝ている時呼吸が浅くなり、息苦しくなって眼が覚める。
この時役に立ったのは粉末酸素だった。水に溶かすと約10分間酸素が発生してこれを吸うとすっきりして熟睡できた。
3. 参考資料
私が利用した「ヒマラヤ観光開発(株)」は現在も営業しているようである。詳細は下記ホームページを参照されたい。
《ヒマラヤ観光開発株式会社 | ヒマラヤでのトレッキングならお任せください! 》
上記に記載コースの内 私のコースに一番近いのは「ホテルエベレストビュー7日間」である。
これにカトマンズ観光、成田―カトマンズの航空券がついて350,000円/人であった。
ホームページには現在の価格記載ないので、当方希望を述べて相談で決まるようである。