趣味 「鉄道模型との再会」(馬渕洋三郎様)
幼い頃小遣いを貯めて買い集めた「鉄道模型」を故郷から長崎、そして東京まで開けないでいた「玉手箱」を47年ぶりに開け
それが見事動いた時の感動を軽快なタッチで書いて頂きました。伊藤
鉄道模型との再会 馬渕洋三郎
趣味は多ければ多い程、充実した人生を送れると言われたことを思い出す。私は幸い5つ以上の趣味を持っている。
コロナ禍では屋外でのスポーツや旅行などは難しいので屋内でできる趣味が必要であるが、今回はその中の一つでもある
鉄道模型についてご紹介する。
鉄道模型は小さな子供から年配者まで幅広い年齢層のファンが多い。鉄道模型は線路の間隔(軌間)及び縮尺でGゲージ
(縮尺1/20.3)、Oゲージ、HOゲージ、Nゲージ、Zゲージ(1/220)と規格が決められている。私が夢中になったのは小学5年生
から中学1年生(1964年)の頃であった。実物に近く臨場感が得られるHOゲージ(縮尺1/80~1/87)であり、レール間隔
は16.5㎜、両側のレールにプラスorマイナス16Vの直流を流し電圧を調整することにより車両を前進後退・停止と自由に走ら
せることができる。
少ない小遣いを貯めて実家近くの駅前模型店のショーケースを眺め、十数回通いやっとのことで手に入れた時の感激を覚えて
いる。鉄道模型には様々な楽しさが重なりファンを飽きさせない魅力がある。実物の車両を模擬し真鍮板から車体を作り上げる、
レール上で車両を運転し動かす、自由にレールやポイントを組合せるレイアウト、列車が走る景色を想像し景色を作るジオラマ、
複数の列車を運行し追い抜き、待ち合せ、増結などダイヤを組立てることなどがある。
夢中になったものの、その後は遠ざかってしまった。当時は東京オリンピックが開催され、スポーツ選手に憧れ中学・高校・
大学生とスポーツに集中し鉄道模型に興味を持たなかった。大学卒業後入社し長崎へ。数少ない引越し荷物に鉄道模型の箱を
入れた。長崎ではこの箱を開けることなく32年過ごした。東京に転勤になる際にもこの箱をそのままにしていた。
この箱は32年掛けて東京⇔長崎を往復したことになる。
一昨年箱を開けた瞬間、過去の記憶が微かに蘇って来ることを感じ、半世紀過ぎても車両が動くかとの不安。早速、レールや
コントローラを購入し走らせてみた。57年経っても確り動く。いよいよ鉄道模型への趣味復活である。更に現世代の真新しい
車両を手に入れたい衝動になり鉄道模型店へ向かった。新しい車両はプラスチック製、駆動は家庭用プリンターの小型モーター
を使用し、電球はLEDへ。セレン整流器はブリッジダイオードへと時代と共に様変わり車両は軽量、静粛でトラブルが少ない。
一方昔の様な車両、駆動ギヤ、通電系統を作り上げる手作り感が薄れたのは少し寂しい。
長機会2月号に掲載された通り、長崎駅も長崎新幹線の建設に伴い新駅舎となったと聞いた。懐かしい終着駅舎に思いを馳せ
昭和40~50年頃の長崎と博多・小倉・本州を結ぶ急行「出島」「いなさ」を思い出し、コロナ禍の今ディゼル列車を走らせている。
今も健在57年前の模型車両