皆様からのお便り(2.A)特別寄稿 野口裕文様

現在MHPS長崎工場 技監・主幹プロジェクト統括で松浦発電所2号機(100万㎾)のPM(Project Manager )を務められた野口裕文様
より特別投稿頂きました。久々の大型石炭焚き発電所の完成までには多くの議論と障害がありましたがお客様九州電力殿のご協力とご要請もあり納期6か月短縮して着工から47か月で完工したとの報告です。(伊藤)

九州電力(株)殿松浦発電所2号機が運転開始(令和元年12月20日)   MHPS長崎工場 野口裕

九州電力㈱松浦発電所2号機が令和元年12月20日に営業運転を開始しました。長崎県松浦市にある九電松浦発電所の紹介です。
 第3セクターの松浦鉄道の松浦駅から平戸口方面に向かうと海側にJ-POWER/松浦火力発電所と九電/松浦発電所が隣同士に見えてきます。合わせて3,700MWの大石炭焚発電所です。なぜか発電所名に“火力”がつけばJ-POWER、“火力”がつかない方が九電と区別されています。
 松浦発電所前駅の正面まで行くと手前から九電/松浦発電所の1号機と2号機を見下ろす形で並んで見えます。技術の進歩で2号機の方が低くなっています。(1号機ボイラー高さ 92m : 2号機ボイラー高さ  73m

     [2号機の主な経緯]・・・九電HPをベースに記載
      1998年1月 環境調査開始
      2001年3月 工事着工(工事計画届出)
      2004年6月 工事中断(電力需要想定が下がったため)
      2016年1月 工事再開(2015年11月工事計画変更届出)・・・・土木着工
      2019年4月 火入れ2019年6月 発電開始(並列)
      2019年12月20日 営業運転開始

【既設1号機は700MWでボイラは旧MHI(4コーナ炉)、タービンは旧日立(TC4F)。蒸気条件は246kg/cm2×538/566℃。 新設された2号機は1,000MWでボイラはMHPS(8コーナ炉)、タービンは東芝(TC4F)。蒸気条件は24.5MPa×600/600℃。 1号機が平成元年運転開始、2号機が令和元年運転開始となっております。】

MHPSグループは、ボイラー、EP、脱硫、水処理、運炭、灰処理設備等広範囲な設備を担当しております。(EPと排水処理装置の一部をMHPS-ESが対応)
またボイラーは新型バーナーを採用するとともに瀝青炭専焼かつ亜瀝青炭50%混焼運転可能な最新設備としております。
そして24.5MPa×600/600℃の高蒸気条件を採用しており、CO2排出量の低減を図っております。

今回の工事・試運転では大きく3つのハードルがありました。
・2号予定地は1号機と貯炭場に挟まれ、しかも700MW予定地に1,000MWを入れた狭隘地だったため、資材置場/地組場が
 十分に確保できず工事は 難航しました。
・お客様要求で工期6か月短縮となったため大変でした。土木着工~運開:47か月
・太陽光発電の影響による給電指令により夜間試運転が多く苦戦しました。

またホテルが少なく、J-POWER側定検工事と重なると更に予約に苦労しました。地元の旅館組織“まつうら女将の会”はニコニコです。


    12月20日営業開始記念の写真。前列横断幕保持者の左隣から
    日野松浦発電所建設所副所長、鎌倉松浦発電所建設所所長、木庭MHPSグループ総合所長、蒲谷東芝所長、西村MHPS所長  

   

   前列左から勝山試運転責任者、西村MHPS所長、小林長崎地域副統括、九州電力殿鎌倉所長、木庭MHPS総合所長、野口PM(筆者)

2020年(令和2年)1月21日 現地にて九電/工事関係者のみで安全祈願祭(竣工式)と感謝状贈呈式が行われました。その後の祝賀会では、友田松浦市長様、九州電力(株)岡田執行役員火力発電本部長様、大野電源開発㈱松浦 火力発電所長様他 93名が参加して盛大に行われました。MHPSからは若林常務執行役員エンジニアリング本部長等が出席し、懇親を深めました。

上は九州電力殿から感謝状を贈呈される若林常務執行役員(1月21日)
下は九電松浦建設 所の地元情報誌「きゅーんとまつうらVol.27」に掲載された記事です。