「遠藤周作文学振興会と長崎県音訳の会の活動について」 梅田 和子
2005年定年の年、外海が長崎市と合併することになり、「遠藤周作文学館」が当時長崎で進められていた指定管理者制度
の適用になる可能性が高いとのことで、遠藤順子氏【周作氏ご夫人】の依頼を受け、「NPO法人遠藤周作文学振興会」を
立ち上げました。
【写真右:長崎県外海にある遠藤周作記念館。遠藤周作氏(1923-1996年)逝去後、周作氏御夫人は2000年5月に代表作「沈黙」の舞台、
西彼外海町(現長崎市)に文学館を建設を主導し、遺品や草稿など約3万点の貴重な資料を寄託・寄贈した。周作氏はカトリック教徒で
信仰を主題とする作品が多い。
しかし、市役所の文学館の担当部署(当時教育委員会生涯学習課)と蔵書データベースの公開を巡る運営方針(市は蔵書DB
は機密情報と言い公開を拒否)で意見の相違があったことに加え、遠藤順子氏も体調を崩され、入院をされたこともあり、
理事長を降りました。 (遠藤順子氏は2021年1月17日逝去されました。)
蔵書DBは夫が定年(2001年)後、ボランティアで文学館に通い、約10000冊の本のDBを作成、検索システムも作成し
ました。
蔵書以外にも新聞・雑誌の切り抜き等いくつかのDBを作成しました。その切り抜きの資料も色あせ、セピア色しつつあった
ので遠藤夫人と共にスキャンを申し出ましたが、紙が痛むと許可が下りませんでした。(理解できない返答でした。)
私も定年後、暫く文学館に通い、遠藤家から寄託された絵画・写真・賞状などをDB化、できるだけデジカメで写し、
リンクを貼りました。しかし、文学館に指定管理者制度は適用されることはありませんでした。
定年後、会社時代とは異なる文化的なことで、社会に役立つことをやりたいと思っていましたが、NPO法人の理事長職が
できなくなり、他の何かをと思っていた時に、大学の先輩から視覚障害者の方々へ音声で情報を伝える「長崎県音訳の会」の
紹介を受け、平成19年(2007年)に10回の講座を受講し、入会しました。この講習会から録音方法がデジタル化されると
いうことで、パソコンを使用しての講座でした。(それまではテープを使用していました。)
音訳ボランティアを冨永様、築地様もされていると知り、私も頑張らなければと勇気をいただきました。
「長崎県音訳の会」での活動内容を幾つか紹介させていただきます。
【1】長崎新聞論説の音訳
入会後は壱岐市の広報誌を1年間、長崎新聞声の欄を子供さんのキラキラネームに悩まされつつ、10年間読み、2020年度から
長崎新聞論説を毎月(1~10日)自宅で録音、音源を視覚障害者情報センターにデータ便で送っています。
以前は音源をテープに落とし、橋口町(浦上天主堂近く)の視覚障害者情報センターに持参していましたので、データ便で送る
ことができるようになり、楽になりました。
【2】プログラム「C#」の勉強会
そのほかにプライベートサービスで、何冊かの本を読みました。その中の一冊が「日本語プログラム言語なでしこ」でした。
その縁で、入会して3年目、視覚障害者の方の希望で、プログラム言語「C#」の勉強会を2年間ほど行いましたが、年齢が
50代・60代の方でやはり少し難しかったようです・・・でも、真面目に2年間(毎月1回)も頑張られました。
言語を「C#」にしたのは、勉強会前に長崎の視覚障害者情報センターでお会いした筑波技術大学の長岡教授(全盲)に
「猫でもわかるC#」の本を教科書にすることを勧められたからです。
【3】声の情報誌「こだま」
また、長崎県音訳の会は独自に毎月声の情報誌「こだま」を発行しています。
「こだま」はその時々の話題を原稿にまとめ、視覚障害者情報センターで録音、
みなで校正します。ただ、コロナ禍で、自宅録音が可能な人は録音したデータを
持参、校正ナシという事態になりました。
そろそろ入室制限がなくなり、みなでの校正ができるようになると思っています。
「こだま」はあいさつ、今月の特集、エンターテインメント、ブックランキング、
あの店・この店、イベント情報、長崎県視覚障害者協会からのお知らせ、長崎の
ニュースから、ティタイム、手軽な献立、暮らしのワンポイントの毎月担当者
が原稿を作成、センターで録音を行い、みなで校正を行い、ダビング、県内の希望者
にCDorテープで発送しています。(発送費用は郵便局の好意で無料です。)
また、長崎市立図書館、出島交流会館にも届けています。
まだまだ、テープでなければという方が多くいらしゃいます。CDはディジー
図書を聞くプレクストークという装置があります。
視覚障害者の方にはその装置を購入する際に費用の補助があります。
長崎県音訳の会へ入会して15年になりました。入会して、12年目には長崎県視覚障碍者協会から、表彰状を
いただきました。冨永様、築地様を見習って、もう少し頑張っていこうと思います。