皆様からのお便り 『サウジアラビア・ラビ―グ発電所リハビリを終えて』 前田清伸様(現役)

サウジアラビアのラビ―グ、クラヤ、ガズランの大型FTK案件の試運転をやった前田清伸さん(建設部)が、昨年三菱パワーサウジアラビアの所長として駐在し、ラビ―グの大型改造を指揮しました。その報告です。

南米が主な市場だった長船の原動機は、昭和52(1977)年1月イラクハルサを受注し、中近東の市場開拓に取り組みます。その結果、1970年代後半からメディナ・ヤンブ―、アルジョベール、RCヤンブ―、ラビ―グStage 1, クウェート・アズール、クラヤPh 1,Ph 2、ラビーグStage 3 , クウェート・サビア、そして1996年9月のガズランまで大型案件の受注が続きました。
脱CO2の流れでサウジアラビアはガスタービン市場になりコンベンショナル型の発電所の受注は無くなりましたが、後輩たちは先人が開拓した市場を、美田として活かしています。                            「牧浦記」
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 サウジアラビア・ラビ―グ発電所リハビリ工事を終えて
                                        三菱パワー・サウジアラビア前駐在所長 
                                           前田清伸(現役)  

1.サウジアラビア・ラビーグ発電所

ジェッダ市から北へ約160kmの紅海沿岸に位置するラビーグ発電所。ステージ7まで増設され総発電能力は6,000MWを誇るサウジ西部最大の発電所だ。長船がステージ1として4缶+4基(1号から4号)を建設したのが1980年代、ラビーグ発電所の始まりだ。
その後、長船が1990年代にステージ3として2缶+2基(5号と6号)を受注建設した。今なお現役として稼働を続けている。

        紅海に面したラビーグ       当社納入のステージ1とステージ3は優先して稼働
      ラビーク発電所 向かって左から当社製のステージ3,ステージ1


2.日本製の品質の良さ
 
1985年に運開したステージ1は、今年で節目の41歳。胴切りモジュールを長崎から海上輸送した伝説のボイラである。ボイラもタービンも大きな損傷もなくここまで運転できている。
ステージ1は、ボイラ・タービンだけでなく全ての製品が頑丈で素晴らしい』と、今でも高い評価を耳にする。それもそのはず。ステージ1建設当時は1ドル=240円時代。主機だけでなく配管、弁、計装電気品すべてが日本製でとにかく品質がよい。
ステージ1から11年後の1996年に運開したステージ3、建設時は1ドル=100円に突入。主機以外は海調品で構成されており老朽化が酷い。1996年の運開からリハビリ実施の2025年で29歳。

     今回リハビリ中の5号、6号  旧パネル取り出し(6号ボイラ) 2025年11月  新規パネル搬入(6号ボイラ) 2025年12月


度重なるトラブルに見舞われた。ボイラチューブ漏洩、復水器チューブリークによる海水汚染事故、塩害によるタービン動翼飛散事故、ブラックアウトによるタービン軸受焼損事故などのトラブルがあった。三菱による献身的なサポートで運転を継続してきた。2025年2月、ステージ3の6号ボイラでは1次再熱器と節炭器チューブ更新、そして誘因通風機(IDF)の取替と無事にリハビリ工事を終えた。そして同年3月、1号と5号タービンでも長船指導員の下で定期検査工事を無事に終了した。

  定期検査  ステージ1(1号タービン)          ステージ3 (5号タービン)   


3.先輩たちの痕跡 

お客様事務所の玄関口。41年前、ステージ1竣工記念として贈呈したボイラ・タービン模型品が今でも大切に展示されている。先輩達が残してくれた遺産がいまでも輝いている。

            玄関に展示されているステージ1プラントモデル(竣工時に三菱より寄贈)


ステージ3建設時、入社5年目のタービン試運転指導員だった私も今年で36年目。私の方が先に引退することになりそうだ。
近年のサウジアラビアの社会・経済変化は著しい。特に女性の権利拡大が急速に進んでいる。女性の雇用率は30%を超え自動車運転も解禁になった。大阪万博の次はリヤド万博に決まった。2034年にはサッカーW杯もサウジで開催される。
ラビーグだけでなく長船が納入した火力発電所が、これからも伸び行くサウジアラビアのインフラを支えていく。
                                                 以上