皆様からのお便り (シルバーになって)



   シルバーになって                                                   

                                                      2025年月 牧浦秀治

年代別では好みの色の違いはあまりなさそうだ。明らかに違うのは色調(明度と彩度)。20代、30代で明るさ華やかさがピークになり、以後、
歳を重ねるに従って色調も暗くなってシルバー色になる。シルバーは65歳以上と回答した人が多かった。

20年ぐらい前、先輩から定年後の円満な夫婦関係を維持するための三つの秘訣を教えてもらった。
‟家の電話には出ない” ‟昼食は家で食べない” ‟一人遊びができる”。

「家の電話にでない」
家にかかってくる電話にでるな。電話はほぼ100%嫁さん宛て。電話に出てご主人が家にいるとなると、相手は遠慮して奥様には電話しなくなり、
ランチに誘われなくなる。仲間外れにされる。嫁さんが友人を失い夫婦仲も悪くなっていく。携帯電話のお陰でこの対応をしなくて良くなった。
「昼食は家で食べない」
朝、7時過ぎに朝食を取る。後片付けを終わったら9時前。それから部屋の掃除や洗濯が始まる。妻一人の時は、昼食はあるもので済ませ、時には友達とランチする。夫が家にいると、掃除・洗濯後にすぐ昼食の準備となる。彼女の自由な時間を奪う。私は現役時代から一日二食主義だ。朝食は取らなかった。今は朝食の代わりに昼食は取らない。
「一人遊びができる」
仲間のほとんどは、65歳まで6日/週、10時間/日を仕事に費やしてきた。明日から貴方は7日/週、24時間/日は自由ですよと言われ、仕事に代わる‟一人遊び”を見つける、これが一番難しい。近くに図書館がある。四大紙に神奈川新聞やスポーツ新聞各紙が閲覧できる。時間つぶしに行った。同じメンバーに何度も出遭った。「今日も来ている。俺と同じ暇なんだ」との表情はしない、視線を合わさないが仲間への図書館でのマナーだそうだ。

63歳で定年退職したサラリーマンのその後を描いた『終わった人』の著者・内館牧子氏に、講演してもらった。

1)「定年後は潔く過去を捨てる。散り際千金」。特殊技能・技術がない限り社会は定年後の人たちに期待し
  ていない。だから自分の楽しみを優先する。昔やりたかったことを勉強しなおすのもよい。就職に有利だ
  とかいう邪念はないから好きな大学の好きな学部で、時間の制約なく勉強ができる。
2)国に例えるなら、見習うのは英国の姿勢だ。大英帝国は戦勝国ながら第二次世界大戦後に植民地をほとん
  ど独立させた。結果急激に国力が衰退していく。でも独立させた国と良好な関係を保ちその後の国際社会
  で尊敬される存在になっている。英国は弱くなることを受け止める品格があったから、今も世界から頼ら
  れている。

 

これからは上図のように人口は減り、我々65歳以上が増える日本になる。上図で高齢者とは65歳以上をいう。

最近『なぜヒトだけが老いるのか』(小林武彦著)を読んだ。
「人以外の野生動物(除く人間に飼育されている動物)は生殖機能が無くなったら死ぬ。人に老後があるのは進化の結果である。生殖活動を終えた人間は子育てを手伝い、狩りの技術を若者に伝え、その結果子供が増え食料も確保でき集団は大きくなった。少子化、経済の衰退、介護や医療費増大。
これに対応するには65歳以上のシニアが子育てや教育など公共的な仕事に奉仕的に参加すること。 現役として働けるようになり老化を食い止め医療
費が下がり、税も増える。若者はクリエイティブな業務に集中できる。シルバーアは社会を支えるベース層を担え」と書いている。

退職して一年が過ぎた。まず与えられた自由な時間で、過去を振り返り、これからの生き方を自問自答せよということだった。どれだけ長く生きるかではなく、どのように生きたかが問われるのが余生だった。シルバーの先には「バラ色に人生がある」という人もいる。色の三原色を混ぜ合わせると光を失っていく。一方、光の三原色を重ねると明るさを増す。シルバーを明るいバラ色にする”光”を見つけられるかは自分次第だと分かった。 
                                                              以上