魚釣り.(飯島史郎様)

■魚釣り

〇飯島史郎様

飯島史郎さんは現在長崎在住の会員。経歴:二工作ー所長室ー本社船海事業本部  二工作部長時代、長船からの講演者として長機会総会出席。
長崎ならではの釣りの魅力について投稿して頂きました(事務局)

 

長崎沖でボートフィッシングを楽しむ

このところ、はまりにはまっている自船での沖釣を紹介したいと思います。

元来、海好きで、小さい頃より素潜りで魚貝を採ったり、磯釣りを楽しんでいました。ところが入社し配属になったのが、この長崎。豊かで多様な長崎の海に魅せられて、時間を見つけては、あちこちの磯に通っていました。しかしゴルフを始めてからは、二刀流は時間も家計もが許さず、長い間海からは遠ざかっていました。

しかし、第一線を退き顧問になるや、急ぎ長崎へ帰り、待ってましたとばかり、磯釣りや素潜りを再開しました。
ところが、自分の思いに反し歳を感じる事多々、素潜りも3年前に止め、磯釣りにも不安を感じ始めた。磯の岩場を歩くのが怖くなったのだ。そこで磯を諦め、遊漁船での沖釣を始めた。これなら荷物の積み降ろしも楽だし、危険な岩場を歩くことも無いからです。ところが、遊漁船での沖釣にも難点が多い。明日は天気が良さそうだから、釣りに行こう、と思ってもまず無理。1カ月も前からの予約が必要。ところが1カ月先の天候は判らないので4回予約しても1回行ければ良い方。それと料金が高い、長崎でも1~2万円近い料金、都会地なら数倍でしょう。そして自由がきかない、船頭さん指定の釣方しか出来ないし、折角釣れ始めても決められた時間まで・・・などなど。

そんな中で1昨年の6月末に定年を迎え、第二の人生を如何に過ごすかと考えた末に、“そうだ、自分で船を持とう”と急に思い立った。思い立ったら吉日、8月に2級船舶免許を取り、9月に25フィートの中古船を手に入れた。勿論、家内は大反対、免許を取ると言い出した時には、数日間は口もきいて貰えなかったが「今しか出来ない、何時、体が動かなくなるか判らない、今なら出来る、やらねば一生悔いが残る」と説得し何とか条件付きで許可を取り付けた。
係船場所を確保するのにも苦労したが蚊焼港に運よく空きを見付けた。自宅から蚊焼港までは車で約1時間も掛かるが、蚊焼港からは好漁場に近いので、ここに置くことにした。年間の係留費は2万円弱、東京での係留費用は安くても年間100万円位とか、ちょっと信じられないが、やはり自然相手は田舎に限る様です。

さて、前段が長くなりましたが、

自船による沖釣の楽しさ第一は好きな時に出港出来ること
パソコンやテレビで波高予報を見るのが日課、潮の良否を見て波高が1.0m以下なら即出港です。

第二は好きな所へ行ける(釣りたい魚が選べる)ことです。
無論、船の大きさとか免許の種類によって行ける距離に制限が受けるが、2級免許(岸から10海里までOK)で十分。今日は鯛を狙うか、それともハタ等、底ものを狙うか、時には迷うこともあるが、行き先の選択は自由である。

第三は自分のポイント(釣場)を持てることです。
船にはGPSと魚探を装備しています。GPSには等深線が表示されますので海底の地形をある程度予測することが出来る。等深線を見ながら、自分の勘と魚探で魚が居そうな場所を探す。魚が良く釣れた場所にはGPSにマークを付け、次にまた同じ場所へ行ける様に記録する。自船を持ってから1年半が経ったが、GPS上のマーク数は約20ポイント。真鯛が釣れるP(ポイント)、イサキが釣れるP、ハタなど底ものが釣れるP、更に上げの潮で釣れるP、下げの潮で釣れるP、また季節によってもPは変る。船を持ってからこれまでの出港回数は100回を遥かに超え、その経験がマークに込められている。この季節、この潮なら、このポイントで真鯛が釣れる筈、なんてことが判るので、おのずと釣果も上がる。例えば、昨年の1月の釣果は3回出港して真鯛は6匹、イサキは18匹の貧果、1月は釣れないのだと思っていたが、なんと今年の1月は6回出港し真鯛が29匹、イサキが88匹、と大幅に釣果アップした。これには、良いポイントを見付けた事に加え、仕掛けの工夫改善効果も大きいと思ってる。見えない海の中での魚の行動をあれこれと想像し、仕掛けを色々と工夫して見る、そしてそれが当たった時の痛快さは格別です。70歳になった今も、若い頃と同様に出港の前日には胸がワクワクして寝付きが悪い、釣りの魅力です。

第四は、新しい仲間、知人が増える事
港には漁師さん、それから自分と同じくプレジャーボートを楽しむ人など、60隻くらいの船が居る。朝は、会う人に毎に“ご安全に”の感覚で“お早うございます”と意識して声掛けをする。何時のまにか、向こうからも声が掛かる様になり、海上で会えば手を振り合う、何人かとは携帯番号を教え合い、釣りの情報を交換したり、事故時には助け合う仲になっている。

第五は、何んと言っても新鮮な魚を食べられる事
どうしたら釣った魚を最高に美味しく食べれるか、色々試みた。先ずは船の生け簀で生かして置くこと、そして帰る直前に殺めて、塩水で血抜きをし、しばらく塩水氷で身をシメ、氷で囲って持ち帰る、これが今のところ最善の方法の様だ。持ち帰った釣魚の大半は御近所、知人、そして時々は実家へも送ったりする。“美味しかった”と喜んで貰えるのも最高の喜びである。

しかし船を持って良い事ばかりではない。
厄介も増えた。その第一は何と言っても台風
台風のシーズンには、あれやこれやと心配して疲れる。昨年は、係船ロープの確認と補強の為に、船の下に2度も潜った。岸壁側からのロープは左程心配しないが、海側から引っ張っているロープ、その先の捨てアンカーが心配の種。アンカーが風圧に耐えられるか、ロープが海底の岩に擦れて切れないか、心配するとキリがない。

厄介の第二はメンテナンス
私の船は、進水から20年も経った、相当なお婆さん、もう少し金を出して、もっと若い娘さんにすれば良かったと後悔することしきり。やはり色んな部品が劣化しておりチョコチョコ故障が多い。今のところは、幸いにもエンジン本体など肝心な所に問題は無いが、電気系統、特にスイッチなどに故障が多い。昔、工場の生産設備の保全を担当していた経験から、当時使っていた自前のテスターが活躍している。天気晴朗なれど波高し、と言った様な日には、終日、船で過ごし、エンジンオイルや冷却水、ベルト類のチエック、船体の清掃、係留ロープのチエック、キャビン内の整理整頓と清掃などをする。大変ではあるが意外と楽しみも感じている。

まあ、そんなこんなでありますが、今や、船は自分の残りの人生には欠かせない存在。願わくば、長さ30フィート強の、ソファー付きキャビンのある様な船が欲しいな、なんて思いをつのらせていますが、中々、家内には言い出せず。しかし、また一方では、果たして後何年自分の体が持つのか、やれるのか、と現実に戻ったり、ため息まじりの毎日であります。

     マイボート 「しおり」              今日の釣果                   マイボートの上で