木工.(飯島史郎様)

 

〇飯島 史郎 様(会員 長崎在住)

本社勤務後長崎に戻られた飯島さんからの「魚釣り」に続く第2弾です。マイボートによる魚釣りと違って木工は長崎らしいというのものでも
ないし・・・と遠慮されましたが、都会ではなかなか本格的には取り組みにくいテーマでもありますし、敢えてお願いしたものです。(冨永)

今回は、我流で楽しんでいる「木工」に付いて紹介をさせて頂きます。
「木工」と言えば、高尚な木工芸術を連想される方もいらっしゃると思いますが、私の木工とは、遊びや生活をより楽しくする為に欲しいと思う物
を得る為の手段の様なものであります。木工に興味を持ち始めたのは、小学生の頃からで、遊びに必要なものは殆ど自分で作ったと記憶しています。考えて見れば、今の木工も、その延長線上にあり、相変わらず全くの我流で、欲しいと思ったら作るで、芸術性など全くありませんが、木工を通じ、改めて物を作る楽しさ、そして欲しいと思った物を得る喜びを感じています。

  小学生の頃、教師であった父は、玩具らしきものは何も買って呉れなかったが、ナイフとか、
  糸鋸、彫刻刀などの工具類は買って呉れた。それが小学何年生の頃だったか、記憶は定かでは
  ないが、現在の子育て感覚からすれば、随分と早い時期だった様に思う。工具の扱いは怪我を
  しながら覚えた様なもので、生傷が絶えず、鋸で指を曳き針で縫う程の怪我もしたが、それで
  も工具の使用を禁止された覚えもない。材料は、裏山の生木、竹、それと“かまど”や風呂の薪
  で、特に製材所から出た端材は最高だった。作った物は、戦艦、戦闘機、戦車などの模型など
  玩具的な物が多かったが、犬小屋、ウサギ小屋、小鳥のケージ、マツムシのケージなど、必要
  に迫られると、欲しいと思うと、何でも作った。大物では、一人乗りのボート。作ったのは
  中学生の頃で、弟が欲しがるので作ってやったが、不安定で、弟は2度と乗らなかった。
  高校、大学、就職しての独身寮、そして社宅住まいの間、木工とは縁が途絶えたが、長崎に
  来て35歳の時に家を建て、社宅の5階から土の香りのする一戸建てに移った。とたんに、
  忘れていたものを思い出した如く、鋸とか鉋だとか大工道具を買い求め、簡単な作業台を
  作り、庭で犬小屋を作った。それから、時間を見つけては、ベンチだとか、鉢カバーだとか、
  また色々と作り始めた。そうする内に、何時かは、雨が降っても風が吹いても作業が出来る
  工作部屋が欲しい、それと電動工具なるものが欲しいと思い始めた。
  そのチャンスが7年ほど前にやって来た、仕事の第一線を離れ長崎へ帰るのを機に家を新築
  することにした。念願の工作室を作るぞと意気込んだが、敷地や予算の制約から専用の部屋は
  無理、考えた末に、車庫と兼用の工作室を作ることにした。木工をする時には、車を外に
  出す、そうすれば結構なスペースを確保出来るのだ。家が完成し、早速に、念願の電動工具を
  仕入れた。先ずは基本的な電動工具を8種揃えたが、安物ばかり選んだせいとはいえ、全部で
  ゴルフのドライバー1本ほどの値段、安くて驚いた。最初に作ったのは、作業台だ。
相川相談役から「作業台は重量のあるしっかりしたものが良い」とアドバイスを頂いていたので厚さ40mmの板材で作った。次いで、工具類を
収納する工具棚を作り、木工開始の準備完了。最初は、新居に必要な各種の棚などを作ったが、初めて手にする電動工具の威力に感動した。最初は
扱いにちょっと戸惑ったが、コツを掴むと、実に楽に加工が出来、しかも加工スピードが驚くほど早い!木工に対する認識が変わった。 これは
面白いと製作意欲に火が付き、色んなものを次から次に作ることになった。

これまでに作った物の中から、幾つかを写真で紹介させて頂きます。

家内から頼まれて作ったもの 

①庭のベンチ、小テーブル、植木鉢置台 ②野菜収納を主目的とした収納庫。
置場所スペースに制約があったので
自作した

  

孫用として頼まれ作ったもの 

③玩具箱 ④御絵描デスク・チエアー ⑤衣服掛け兼
物置棚



 自分が欲しくて作ったもの 

⑥神棚。
私は神道で出雲大社の氏子なので、新居には「大社造りの神棚」が欲しいと思い探したが、サイズ・趣向共に気に入ったものが無く自作した。

⑦水中銃。
かって手銛を持って魚を追っかけていたが、射程距離の長い水中銃が欲しくなって作ったもので、全くオリジナルの自信作。
長さ約1.5m×7mmφのステンレス棒製の銛を外径13mm×内径2mmの生ゴム2本で打ち出すものです。グリップ、トリガーなど主要外部
は硬くて粘りのある欅材を使用し、内部のメカ部品は、糸鋸でも切断が出来、かつ高強度のMCナイロンを使用。インターネットのお蔭で、特殊な
素材を簡単に入手出来る様になり、自作の領域が大いに拡大した。
  

⑧船釣りの際に不可欠な竿置台。
市販の物もあるが、船縁に固定する台座も含め1セットが3万円もするので欅材で4セット程作り、活用中
  

⑨サラダ・サーバー。
友人が、庭の欅を切り、その丸太を頂いた。その欅材で記念の品として作り、御礼としたもの。
                         
          
以上、愚作の一例を紹介させて頂きましたが、こんなものが欲しい、と思ったら、あれやこれやと構造やデザインを練り、図面が出来ると、飯を食うのも忘れて製作に没頭する。暇つぶしには持って来いです。また、これまでに知人や友人から頂いたりした「銘木」と呼ばれる木材が結構集まってきたので、今後は若干なりとも芸術性を感じさせる木工へも挑戦してみようかと思い始めているところであります。