菜園.(高橋 伯様)

■高橋伯様から春に供えて準備中の菜園の報告を頂きました。高橋様は名古屋市にお住まいで自宅から1.5Km離れた菜園は25m x 45mで
 約1反(300坪)の面積です。(事務局)

 

春の訪れを待つ菜園         高橋 伯 様       2019年2月   New!

今、菜園では空畝(収穫完了したもの)の土起こし、土壌改良作業も最盛期を過ぎ、愈々春一番と共に2019年の先頭を切って、馬鈴薯の作付けが開始される。冬期とは言え菜園では、
収穫期のモノ
 葉物では、白菜、小松菜、ほうれん草、レタス、チンゲン菜、キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、水菜、ネギ
 根菜類では、大根、人参
越冬、春収穫、生育期のモノ
 エンドウ豆、玉ねぎ、人参、ニンニク、ラッキョ、ほうれん草、小松菜、春キャベツ、苺、レタス、牛蒡
保存中、保管モノ
 土中(里芋、生姜)、空中(玉ねぎ、山芋、ジャガイモ、ニンニク)
と年間を通して、自給自足の食に窮することのないよう、年中収穫作物の計画は施されている。

                        上の2枚の写真は収穫期(12月頃)の風景と筆者


             
             菜園の所在と周囲形状

 

                    菜園の全景 (201年2月2日)

 菜園は、名古屋市と豊田市との中間に位置する日進市にあり、
名古屋と日進の境界路の路端に位置する。名古屋の中心部より東南方25キロと市街地の最先端にあり、名古屋大学のキャンパスである東山丘陵背面の南側に下る丘陵裾野と、三河湾沿岸部丘陵との狭い平野部にある。比較的温暖な処である。むしろ乾燥地域かもしれぬ。風雪に害されず、台風被害は皆無と言っても過言ではない。但し、乾燥期の降雨量は東海地区の他と比較しても著しく異なる。名古屋市では豪雨でも此処はパラともせず、東海沿岸部を低気圧が通過しても、降雨の影すらしないと言った気象状況であり、NHKの天気予報は90%ハズレ全く予想できない。居を構える専業農家の主に尋ねるのが一番手っ取り早い。然しながら、彼らの田畑には愛知用水が張り巡らされており、彼等には水飢饉などという心配は全くなくなったのであろうか、天候に関しては平和ボケになりつつある。
 わたしの菜園は40年前は田圃であり、丘陵地の池より用水溝を通しての配水であったが、丘陵地区の宅地造成のため、田圃より畑作用として転換し、一度も畑作せず、盛り土の状態で放置したままであった。その様な訳で借地開墾前は葦と雑木林の湿地帯であったが、開墾しながら菜園の四方に水路を配し、盛り土し、畑作を可能ならしめたのが実状。そのような訳で菜園は排水路の構築によって、○1第1菜園から ○4第4菜園に区画割がしてあり、水路が出来るごとに菜園が拡大したものである。湿地帯は排水路を巡らせたことで解決はするのだが、丘陵裾野の丘陵部は戦前戦後を通して亜炭産出の地区、丘陵面には炭鉱の横穴が残ったままであり、未だに赤水が流出する。当初隣接農家の10m深さの(常時水温15℃)直下掘り井戸水を散水用としてポンプで吸い上げ使用したが、しばらくすると用水槽の水面が表面褐色化し、散水後の土壌表面も酸化鉄で覆われ難儀した。いろいろ濾過装置、イオン交換装置等試験したが、遊びにしては高価なものになるので中止した。今は雨水と水道水を頼りに、やむを得ない場合は吸い上げ井戸水で急場を凌いでいる。この地区は日進市赤池と言い将にさもありなんと思う。「地下鉄鶴舞線 駅名:赤池」
 菜園と私の居住宅との距離は1.5キロぐらいの処であり、小型トラック(スズキ小型車)で4~5分と言ったところにある。そもそも飼い犬トム公の散歩道の途上にあった雑木林であり、周辺で作業する農夫の姿を見て定年退職後は農業でもやってみようかと思ったのが
始まり。だが定年退職後5~6年は人間性改造(永く三菱文化に慣れ親しみすぎ)の必要性を感じ、南山大学、中京大学に通い続け、気づいた時には早や70歳手前、農業を始めるには今しかないと思い(体力、気力、資金etc.の余裕のある中に)意志的に決めたのがこの開墾地である。今やっと
10年目を迎えるわけであるが、この間、身体上は、肺がん(1回)、肝臓がん(3回)、心臓冠動脈2本バイパス等々大手術をしたが、これらは全て農業を継続するために医師とも相談のうえでの先行手配であり、今以て以前と比べて体力、気力の衰えはないと自称している。
 私の求める農業は自然農法だったのだが、工学を学んできた効率主義者には割に合わない農業だと気づき、無農薬、有機栽培に切り替えた。無農薬処置法は、発病初期の段階で除去(切断、抜去、畝放置、自然治癒に土地、土壌改良を委ねる)、つまり、永く放置しないこと、初期の段階で決断することが肝心、全体に蔓延させぬことが肝要である。
 有機栽培では、多量の堆肥を生産することが大切なようだ。私の堆肥は粉砕籾殻、糠、鶏糞、家庭生ゴミ、落ち葉、野菜くずなどが主体である。
従って堆肥庫を3個使い分けして、2~3か月順送りに仕込み、熟成を待つ。以前は名古屋大学馬術部の馬糞を主体とした時期もあったが、馬の飼料がカナダ産、オーストラリア産の輸入品があり、馬糞の中に消化しきれない草花の外来種が残っており、畑にその外来種の雑草が発芽し他の作物よりも生育旺盛であり、今でも除去に苦労している。2015年以降馬糞仕込みは止めにした。元肥は鶏糞が主体となり、愛知県農業試験所家禽課製造の
鶏糞を100円/10㎏で容易に入手でき、糠は懇意の米穀店より50円/10㎏で入手、従って一反歩の畑では年間1万円の出費で充分である。
 最近では家庭菜園を趣味とする人が大勢となり(私も含めて)種苗家(タキイ、サカタ、JA各所etc.)の提供される種苗も高級化、高価格となり考えることも多く二の足を踏むこともあるのだが、年一度訪れる機会でもあり、もし自分の育成した苗が失敗したら一年待ちぼうけを食ことになると考えると、やはり市販の苗を購入することになる。それでも、苺、山芋、里芋、葱等は自作苗を使用している。
 耕運機を起動すると、その音を聞きつけて鵙の親子が飛来する。親は手の届く範囲まで近づくが、私の手から根切り虫(カブトムシの幼虫)を取ろうとはせず、体を膨らませ羽根を震わせて餌の催促をする。子は遠くからこの様子を観察するだけで一向に近づこうとしない。親が言い聞かせているのか、子が臆病なのかは分からないが、世代交代時には寄り付いて来ることを期待している。


            2019年作付計画(付図参照)

 作付計画は、連作可/不可作物により3年前から決まっており、ナス科(ナス、トマト、ジャガイモ、ピーマン、パプリカ、唐辛子)、生姜、里芋、瓜科(スイカ、カボチャ、瓜類、キュウリ)、豆類(エンドウ、落花生、枝豆、丹波黒豆、金時豆)等は自ずから作付け畝は決定される。勿論、
好酸性作物、好アルカリ性作物は前年度の作付け品種によってPH管理を要する畝もあるが、出来る限り苦土石灰を使用しなくても有機石灰(カキ、貝殻、etc.)でコントロール出来るように配慮している。
 2019年7月頃にはこの作図通りに緑々した菜園が見られるだろうと期待している。トマトは真っ赤な大きな顔をして、ナスは黒々と、トウモロコシはフサフサとした頭髪で、スイカは独特な顔つきで「俺の体の中には真っ赤な血潮が渦巻いているのだ」と皆々誇らしく・・・・・・。
彼らと再会するのが楽しみで毎日汗水流している。

         作付計画表   左は菜園区画排水路図                   右は運搬通路図

収穫した作物例  かぼちゃ         スイカ             なす            トマト(なんと重さ590グラム)



事務局あとがき(A.T.)

平成30年6月、長船時代の仕事仲間(写真添付 元火力プラント、機械管理部の有志)が長崎から高橋さんの菜園(農園)を訪問しました。
収穫した作物の写真はその時のメンバー勝代治伸様から提供頂いたものです。